夢で見る風景は、
今でも地元の若柳なんです。(宮藤)

8月16日だけは毎年帰省したい

吉村 大学進学で地元を離れる選択をされましたが、それはどうしてですか?
宮藤 いろいろ考えたんですけど、その当時興味を持てるものがあまりなかったんです。僕の友だちはみんな就職組で、進学する友だちがあまりいなかったのもあって、あまりよくわかってなかったんだけど、とりあえず日本大学芸術学部に入れば何者かになれるんじゃないかと思って。しかも日芸の受験科目が、当時は国語と英語と面接だけだったんです。倍率は高かったですけれど、入れるんじゃないかと勉強したら何とか入れたんです。けれどもさっきも言ったように、大学には完全に馴染めなかった。バブルの頃だったから周囲はみんなイケイケで、最初の一年はそれこそ岡本さんとか(ペットショップ熊谷)のあきらとか、同級生が就職で東京に出てきていたので、毎週末会って「もうどうしていいか分かんない」「友だちいないんだけどどうしよう」って。今まで友だちがいなかったことなんかなかったので、上京して最初の1、2年はどうしたらいいかわかんなくなっちゃって。それで芝居を見るようになったん

ですよ。何か自分が高校の文化祭でやっていたようなことをやっている人がいるんじゃないかなと思って(笑)。そのうちにお芝居を手伝うようになって、いつのまにかスタッフになって、結局大学も辞めちゃったんですよね。だからその頃、母親が(文房具屋の)お客さんに「息子さんは何をしているんですか?」と聞かれても、たぶん何も答えられなかったと思うんですね(笑)。
吉村 地元が嫌で、離れたかったわけではないんですか?
宮藤 全然嫌じゃないですよ。自分が文房具店をやっている姿は想像できないんですけど、夢で見る風景は今も地元の若柳なんですよね。まだ平野神社が川沿いにあった時のお祭りとか、すごく思い出すんですよ。今年(2021年)も花火大会(若柳夏祭り流灯花火大会)はなかったんですよね?
吉村 なかったですね〜。
宮藤 最近は、娘が毎年夏休みに実家に遊びに行っていたので、たまに帰っていたんです。花火大会の日は、すごい人出だよね?
吉村 打ち上げ花火の数も増えているんですよ! 

じわじわと盛り上がっていますね〜。
宮藤 そうなんだ! けど普段は、びっくりするぐらい若柳のまちに人が歩いていない(笑)。
吉村 そうですね(笑)。
宮藤 東京から人を連れて行くと「こんなに人がいないの!?」と驚かれるぐらい人がいないんですけど、毎年8月16日だけは、「どこにいたの!?」というぐらい、びっくりするぐらい人がいるよね?
吉村 近隣から集まりますね。狭い土手に露店が並ぶんですけど、今も変わらずごった返しますね。灯籠流しと花火と、土手の露店は風情があって。
宮藤 本当にキレイですよね! 8月16日だけは毎年帰りたいですね。いろんなまちの花火大会を見たけど、まるで引けを取らない。うちの母がよくお金を出して、花火の協賛を出していたなぁ〜。しかも僕の名前で、「いだてん(NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』)をよろしくお願いします」って勝手にPRしたりしているんですけど(笑)。
吉村 (笑)。これまでの話を聞いていると、宮藤さんのルーツは子どもの頃という……。
宮藤 たぶんそうですね。自分では違うことをやっているつもりですけど、地元の友だちが僕の芝居を見ると「何も変わってない。やっていることは一緒だな」と言われます(笑)。

吉村 大学進学で地元を離れる選択をされましたが、それはどうしてですか?
宮藤 いろいろ考えたんですけど、その当時興味を持てるものがあまりなかったんです。僕の友だちはみんな就職組で、進学する友だちがあまりいなかったのもあって、あまりよくわかってなかったんだけど、とりあえず日本大学芸術学部に入れば何者かになれるんじゃないかと思って。しかも日芸の受験科目が、当時は国語と英語と面接だけだったんです。倍率は高かったですけれど、入れるんじゃないかと勉強したら何とか入れたんです。けれどもさっきも言ったように、大学には完全に馴染めなかった。バブルの頃だったから周囲はみんなイケイケで、最初の一年はそれこそ岡本さんとか(ペットショップ熊谷)のあきらとか、同級生が就職で東京に出てきていたので、毎週末会って「もうどうしていいか分かんない」「友だちいないんだけどどうしよう」って。今まで友だちがいなかったことなんかなかったので、上京して最初の1、2年はどうしたらいいかわかんなくなっちゃって。それで芝居を見るようになったんですよ。何か自分が高校の文化

祭でやっていたようなことをやっている人がいるんじゃないかなと思って(笑)。そのうちにお芝居を手伝うようになって、いつのまにかスタッフになって、結局大学も辞めちゃったんですよね。だからその頃、母親が(文房具屋の)お客さんに「息子さんは何をしているんですか?」と聞かれても、たぶん何も答えられなかったと思うんですね(笑)。
吉村 地元が嫌で、離れたかったわけではないんですか?
宮藤 全然嫌じゃないですよ。自分が文房具店をやっている姿は想像できないんですけど、夢で見る風景は今も地元の若柳なんですよね。まだ平野神社が川沿いにあった時のお祭りとか、すごく思い出すんですよ。今年(2021年)も花火大会(若柳夏祭り流灯花火大会)はなかったんですよね?
吉村 なかったですね〜。
宮藤 最近は、娘が毎年夏休みに実家に遊びに行っていたので、たまに帰っていたんです。花火大会の日は、すごい人出だよね?
吉村 打ち上げ花火の数も増えているんですよ!じわじわと盛り上がっていますね〜。

宮藤 そうなんだ! けど普段は、びっくりするぐらい若柳のまちに人が歩いていない(笑)。
吉村 そうですね(笑)。
宮藤 東京から人を連れて行くと「こんなに人がいないの!?」と驚かれるぐらい人がいないんですけど、毎年8月16日だけは、「どこにいたの!?」というぐらい、びっくりするぐらい人がいるよね?
吉村 近隣から集まりますね。狭い土手に露店が並ぶんですけど、今も変わらずごった返しますね。灯籠流しと花火と、土手の露店は風情があって。
宮藤 本当にキレイですよね! 8月16日だけは毎年帰りたいですね。いろんなまちの花火大会を見たけど、まるで引けを取らない。うちの母がよくお金を出して、花火の協賛を出していたなぁ〜。しかも僕の名前で、「いだてん(NHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』)をよろしくお願いします」って勝手にPRしたりしているんですけど(笑)。
吉村 (笑)。これまでの話を聞いていると、宮藤さんのル

ーツは子どもの頃という……。 宮藤 たぶんそうですね。自分では違うことをやっているつもりですけど、地元の友だちが僕の芝居を見ると「何も変わってない。やっていることは一緒だな」と言われます(笑)。

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自然と考えるようになりました。

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上京しても誰とも話が合わなかった。